潜在意識に存在する、インナーチャイルドの安全な癒し方

人間関係やパートナーシップ、子育てや仕事の悩み、時には心身の不調まで、インナーチャイルドに関係があることを知っていますか?

潜在意識の中にいるインナーチャイルドは、生涯を通じて私たちに影響を与えています。

私は、「アニカ」というヒーリングで1,500人以上の方にセッションをしてきましたが、その中でインナーチャイルドの癒しも行ってきました。実際にインナーチャイルドが癒されることで、クライアントさんの悩みや問題が改善するのを見てきています。

この記事では、潜在意識とインナーチャイルドの関係性やインナーチャイルドを癒すための方法について説明しています。アニカのセッションの中で出てくる「過去世のインナーチャイルド」の話も紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

Sjöblom, I., Pejlert, A., Karlsson, M., & Klevsgård, R.(2016)
「ライフスパンを通じた健康:高齢者が語る子ども時代の体験に映し出される“インナーチャイルド”という現象」
International Journal of Qualitative Studies on Health and Well-being, 11(1), 31964.
https://doi.org/10.3402/qw.v11.31964

インナーチャイルドとは?

インナーチャイルドは、幼少期の頃の体験や感情が潜在意識に残っている「内なる子ども」のことをいいます。愛着やトラウマ、人間関係などにも関わり、大人になってからの感情や行動にも影響を及ぼすという心理的概念です。良い体験やポジティブな感情も含まれますが、現在起こっている問題や悩みを改善しようとする場合には、傷ついた経験やその経験によって生まれたネガティブな感情を癒す必要があります。

玉井仁(2023).インナーチャイルドによる心理療法の広がり ―認知行動療法を中心として―.博士(学術論文),放送大学大学院文化科学研究科.

https://ouj.repo.nii.ac.jp/r

傷ついた子ども時代の感情は、インナーチャイルドとして残る

私たちは、大人になっても、子ども時代に経験した感情や記憶の影響を受けています。特に、当時どうしても感じきれなかった強い感情は、未消化のまま心の奥深くに留まり、存在し続けます。

それがインナーチャイルドです。

どのような時に現れるかというと、例えば相手の何気ないひと言で急に怒りがこみ上げたり、自信をなくしてしまったり、きっかけは些細なことです。よくよく考えてみれば、それほど落ち込まなくてもよい場面であっても過剰に反応してしまうのは、過去の傷ついた子ども時代の感情が「今」に顔を出しているからです。

潜在意識の中にいるインナーチャイルド

インナーチャイルドは、「潜在意識」の中に存在しています。インナーチャイルドと聞いても、正直よくわからないという方も多いでしょう。なぜなら、潜在意識とは、私たちが自分では意識することのできない心の領域だからです。

言葉で考えたり行動したりする顕在意識と違って、どうにかしようとしてできるものではありませんが、潜在意識の中でインナーチャイルドは「助けて」「わかってほしい」と常に訴え続けています。

そして、それに気づかないまま日常を送っていると、やがて繰り返される人間関係のパターンや、生きづらさとなって表れてくるのです。

インナーチャイルドが傷ついていると表れやすいパターン8つ

私がクライアントさんからご相談を受ける時は、相談内容に関わらず大体は子ども時代のお話もお聴きしています。なぜなら、一見関係がない相談に見えても、話をしながら思い出していくうちに、自分が子ども時代にどれほど傷ついていたかと気付く方がいるからです。

実際に、その気付きから悩み事の改善に繋がるケースは多く、それほどまでに、子どもの頃の傷つきというのはその後の人生に影響を与えるものです。

これまで1,000人以上の方のインナーチャイルドを感じてきた中で、特にインナーチャイルドが傷ついていることで起こりやすい悩みを8つあげてみました。

今、あなたが困っている問題も、もしかしたらインナーチャイルドを癒すことで改善できるかもしれません。以下のようなパターンに当てはまるところはないか、ぜひご自身にあてはめながらチェックしてみてください。

人間関係で悩みやすい

潜在意識に「見捨てられたくない」「嫌われたくない」という恐れがあると、過剰な気遣いをして疲れてしまったり、人との距離感がわからないことでトラブルになりやすかったりします。子供の頃から、相手や場所が変わっても繰り返されるパターンがある場合には、インナーチャイルドが関係していることが多いでしょう。

自己肯定感が低くなりやすい

大人からの否定的な言葉や幼少期の経験によって、「何かをしないと愛されない」「自分はダメだ」と思い込んでしまうと、自分で自分の価値を認められなくなってしまいます。そこにいるだけで価値があると思われて育つ子どもと、役立たなければ価値がないと思われて育つ子どもでは、後者の方が当然自己肯定感も低くなります。

感情的に極端になりやすい

過去に感じきれなかった感情が潜在意識に溜まっていると、ちょっとしたことで怒りが爆発しやすくなります。悲しみや寂しさ・罪悪感といった感情が、怒りに変換されて潜在意識に押し込められることもあります。

逆に、あまりに辛い環境のために、ある時点から感情を感じなくしてしまった場合には、自分がどのように感じているのかが分からなくなります。

それは、マイナスの感情ばかりでなく、「嬉しい・楽しい」というポジティブな感情についても同様です。「生きていても何も楽しくない」という言い方をする方もいます。

人に合わせすぎる癖がつく

家族の中でもめ事や隠し事があったり、緊張を感じるような環境で育つと、その場の空気を読み、ひとの顔色を伺うようになります。自分が「どうしたいか」よりも、自分は「どうするべきか?」と習慣的に考える癖がついていることで、常に自分を後回しにして人に合わせてしまうのです。

ついつい頑張り過ぎてしまう

子供の頃に休むことを許されなかったり頑張ることを強要されて育つと、心身が疲れていても休むことへの罪悪感から、ついつい頑張ってしまいます。

身体を壊すまで限界を超えてしまってから、初めて自分が無理をしていたことに気付くというパターンもあります。客観的に見るとそんなにも頑張っているにもかかわらず、「自分は頑張りが足りない気がする」という方は多いです。

身体に不調があらわれやすくなる

次のような身体的不調が、インナーチャイルドを癒すことによって改善された方もいます。

不調の種類具体例
慢性的な緊張・肩こり・首こり抑圧された怒りや不安が筋肉の収縮として残る。無意識の力みが常態化している
胃腸の不調(胃痛・便秘・下痢)ストレスによる自律神経の乱れや、常に緊張状態であることによって消化器に影響が出る
睡眠障害潜在意識に残る不安や恐怖がリラックスを妨げ、入眠困難や中途覚醒を引き起こす
過呼吸・動悸・息苦しさ抑圧された恐怖やパニック反応が、神経系にフラッシュバック的に現れる

自分の家庭を持った時にうまくいかない

インナーチャイルドは、自分の新しい家族ができた時、夫婦関係や子育ての場面で顔を出すことがあります。もともとは親に対して欲したものを、親密な関係であるパートナーに求めてしまうからです。

また、子育てについては、自分が子どもの時に得られなかったことや、我慢した場面、悲しかった状況などに直面すると、子どもの頃の感情がフラッシュバックして、子どもへの適切な対応が難しくなってしまいます。

そのような状態の中で、「大人として」「親として」振舞うことはとても難しく、インナーチャイルドが傷ついているために、結婚してからもパートナーシップや子育てで悩む方はとても多くいます。

本音がわからなくなる

周囲に合わせすぎたり、親の指示に従うことを続けてきたりすると、自分がどう考えているのか・どう思っているのか、本音が分からなくなります。自分の本音よりも、「こうしなきゃ」「こうあるべき」という自分の外側の基準を優先してしまうからです。従い続けている間はよくても、親の死や何かのきっかけによって、自分の本音や望みが分からないことに気付いた途端、混乱(パニック)や空虚感、鬱症状につながる場合もあります。

インナーチャイルドを癒すための手法の選び方

深く傷ついたインナーチャイルドを癒すための手法は色々ありますが、過去の感情を振り返る時は、安全にアプローチできることと、信頼のおける自分に合う専門家を選ぶことが大切です。

インナーチャイルドを癒す時にお勧めのアプローチ

インナーチャイルドを扱う中で注意しなければならないのは、意図せずフラッシュバックしてしまったり、過去の感情が再現されることで体調を崩してしまったりすることです。そうならないためにも、子どもの時の傷つきを安心して癒せる方法を選ぶ必要があります。以下の2つはおすすめです。

①心理療法

心理療法にも色々な種類がありますが、いずれも自分のこころに湧き上がる感情や考え方、人との関わり方を見つめ直します。自分の体験や反応を客観的・分析的に振り返る作業は、基本的に専門家との対話を通して行われます。感情の整理や思考の癖に気づき、人間関係や自己理解の改善を目指します。

②カウンセリング

カウンセリングは、安心できる場で専門家に話を聴いてもらいながら、自分の気持ちや考えを整理していく対話のプロセスです。

自分のこころの中にある感情を分析するのではなく、思いを自由に言葉にすることで、心の奥にしまっていたインナーチャイルドの声に気付くことができます。「本当はどう感じていたのか」「何を求めていたのか」など、子どもの時に誰にも聴いてもらえなかった気持ちをカウンセラーが受容してくれることで、インナーチャイルドが癒されていきます。

以下に、その他の手法もご紹介します。

分類手法特徴
心理療法(対話中心)・内的家族システム(IFS)
・交流分析
・IFS→心の中の「パーツ」と対話しながら内面を癒す
・交流分析→「親・大人・子ども」の自我状態を理解し、人間関係や思考パターンを整理する心理学的手法
セラピー・自己探求系インナーチャイルドワーク感情のワーク、手紙のやりとり、イメージングなどを通じて、内なる子どもとつながる実践法
カウンセリング系インナーチャイルドセラピー過去の記憶や感情にアプローチしながら癒す
催眠系ヒプノセラピー(催眠療法)催眠状態で潜在意識にアクセスし、インナーチャイルドとの対話や癒しを行う
身体・トラウマ系ソマティック・エクスペリエンシング(SE)身体感覚を通じてトラウマや未消化の感情を解放する。インナーチャイルドの痛みも身体から癒していく
スピリチュアル/エネルギー系各種ヒーリング(レイキ・オーラソーマ・シータなど)エネルギーの流れを整えることで、感情や記憶のブロックを癒す

手法だけではなく、専門家の人間性を見る

どのような手法でも、人によって合う合わないがあります。同様に、セラピストとの相性によって効果が出たり出なかったりすることもあります。自分のこころの中の傷つきを相手に見せるというのはとても怖いものであり、信頼関係がなければ見せられるものではありません。

インナーチャイルドにアプローチしようとすることでもう一度傷ついてしまうことになってしまっては意味がありません。そのためにも、以下の点を意識しながらセラピストの人間性も見るようにしてみてください。

①あなたが気を遣わずに、話したいことを話せているかどうか?

②過去の辛い感情が出てきてしまった場合に、しっかりフォローをしてくれるかどうか?

セッションを始める前に、もし途中で辛くなってしまった場合にはどのようにすればいいか、質問をしてみるのも良いでしょう。誠実に答えてくれて、その対応にあなたが安心できるようであれば、インナーチャイルドの癒しにもスムーズに入っていかれます。

セラピストと一緒に感じることでインナーチャイルドを癒すアニカ

私たちアニカでは、二人で瞑想をする中で安全にインナーチャイルドを感じていきます。瞑想ですので基本的に言葉を必要としませんが、セッション終了後に、今感じたインナーチャイルドについてお互いにシェアをします。

セラピストからインナーチャイルドの様子を伝えてもらうことで、初めて自分のインナーチャイルドの気持ちに気付いたり当時のことを思い出す方もいれば、セッションを受けながら自分のインナーチャイルドに出会う方もいます。

インナーチャイルドを癒すのは時間がかかる

インナーチャイルドを本気で癒そうと思ったら、ある程度の時間がかかります。なぜなら、私の経験からいうと、本当に深く傷ついてしまったインナーチャイルドは、頑なに自分の殻の中に閉じこもってしまっていて、コミュニケーションを取れる状態にないからです。

アニカをすると、待ちきれなかったように自分の辛かったこと・当時話したかったことを話してくれるインナーチャイルドがいます。楽しかった思い出や、大切な家族を亡くした話を聴かせてくれる場合もあります。

また、何も言わずにじっと私の隣にいるインナーチャイルドもいれば、遠くの方であちらをむいたまま、振り返ってくれないインナーチャイルドもいます。セッションの間中、とうとう姿を現してくれないケースもありました。

それでも、根気よくクライアントさんがどんな子ども時代を過ごしてきて、どうしてそのようになってしまったのか、どうすれば癒されるのかを感じ続けていくと、いつか必ず変化していきます。

人間関係で傷つき、人への信頼をなくしてしまったインナーチャイルドが癒されるためには、それだけの時間が必要なのです。

インナーチャイルドは、他者と一緒に感じることで安全に癒される

インナーチャイルドが癒されるためには、他者の存在が必要です。「ひとりじゃない」とこころから安心することで、初めて過去の感情を思い出すことができます。

アニカでは、セラピストはそばにいるだけでなく、クライアントの身体の感覚や感情の波動に共鳴しながら、一緒に感じるプロセスを大切にしています。

誰でも、過去の辛かった出来事を思い出したときに、嫌な感覚が蘇る経験があると思いますが、その感覚を共有することで癒していきます。言葉で分析したり慰めたりするのではなく、一緒に感じることで自然とインナーチャイルドが安心し、安全な場の中で癒されていくのです。

アニカで過去世のインナーチャイルドを癒す

アニカのセッションの中には、過去世のインナーチャイルドが出てくることがあります。

「過去世のインナーチャイルド」とは、過去世が子供時代に傷ついた感情の記憶です。不思議に思われるかもしれませんし、科学的根拠はありません。しかし、今生の中で思い当たることのない感情や、理由のない感覚が過去世の記憶であることをお伝えした時に、納得されるクライアントさんは数多くいます。

また、そうしてセッションを終えたあとに悩み事が実際に改善されている結果からも、過去世の記憶と感情が私たちに影響があることは否定できない事実であると考えています。その中で、「過去世のインナーチャイルド」というのは、今生のインナーチャイルド以上に誰にも気が付いてもらえず、潜在意識の奥深くでひとり傷ついたままで存在しています。

・インナーチャイルドの癒しをいくらやってみても、あまり変化がない

・忘れたわけではなく、今生の子ども時代に辛かった記憶が思い当たらない

という方が、過去世のインナーチャイルドにフォーカスする中で、長年の悩みや疑問が解消できたという事例はたくさんあります。

次の章でご紹介するのは、過去世のインナーチャイルドが癒されたことで怒りが消え、夫婦仲が良くなった実際の事例です。

過去世のインナーチャイルドが癒されて、怒りが消えた事例

時々込み上げてくる、夫への激しい怒りに悩んでアニカを受けに来た30代女性。いつも同じ些細なことがきっかけで喧嘩になるのだそうです。

・「話を聴いてくれていないと感じる時」

・「自分だけ置いていかれたような気持ちになる時」

・「夜、相手が先に眠ってしまって取り残された気持ちになる時」

・「電話が繋がらなくて、不安になる時」

など、何でもない場合もありますが、時として、突然激しい感情が湧き上がってくると、とてつもない寂しさと孤独感にいてもたってもいられなくなるとのことでした。

当初抱えていた問題:夫に対する激しい怒りと孤独感が定期的に噴き出し、関係がこじれる

セッション後の状態:怒りが減り、夫との関係が穏やかになった。感情が落ち着き子どもとの関わりも楽になった。過食が自然に改善した。

この方は「いつも、同じような状況で感情が爆発する」と話していました。一見何でもない場面なのに、理由のない寂しさと孤独感が襲ってきていたのです。

育った家庭は特に問題はなく、母は専業主婦で父もよく遊んでくれる優しい人、同居の祖母もいて孤独の原因となる寂しさに繋がる経験は思い当たらず、そもそも幼少期にひとりで過ごすことはほとんどなかったといいます。

兄弟仲も良かったそうですが、どこかで「自分だけが家族に遠慮しているような感覚」が拭えず、自分の気持ちを後回しにして「いい子」でいることが癖になっていた、とのことでした。

実際のクライアントさんの声

セッションの最初は正直、何も分かりませんでした。

「インナーチャイルドが傷ついています」と言われても、インナーチャイルドという言葉にさえ嫌悪感いっぱいで。

でも、回を重ねるうちに、「今の苦しさは、あの頃の私が我慢し続けた結果なんだ」と気づいたんです。いい子でいたせいで、自分を押し殺して生きてきたことが、今の私の生きづらさの根源でした。

アニカを受けて、私が私を憎んでいたんだと分かって、初めてその気持ちを感じた時にやっと少しだけ「自分」というものが分かった気がしました。

こんなにも自分を嫌いだったから、インナーチャイルドを癒すために「自分を愛してあげましょう」というような言葉に嫌悪感があったんだって。そんなのできるわけがない!と。

それから、過去世のインナーチャイルドの話を伝えてもらった時に、あぁ、だから私は兄弟や家族に遠慮する気持ちがあったんだと理解できました。

両親は差別も区別もしなかったのに、何となくいつも自分が優先されたり目立ったりしたら申し訳ないように思っていて、好きなものを選んでいいよと言われても、いつもみんなが選び終わってからにしていたのは、過去世の家族関係からきたものだったのだと納得しました。

何回かセッションを受けて、言いようのない寂しさは消えました。

いつも喧嘩のきっかけになっていた「夫が先に寝てしまうと取り残された気持ちになる」ということも、寂しさがなくなったので「疲れているんだな」と普通に思えるようになりました。私の怒りが消えたことで、喧嘩する回数が、以前の1/10くらいに減りました。

他にも、義務感で遊んでいた子どもとの時間が、楽しいと思えるようになったそうです。また、以前はどうしてもやめられなかった甘いものが欲しくなくなり、体重も5キロ減りました!とご報告がありました。

インナーチャイルドの癒しは大切ですが、悩みが深ければ深いほど、それは過去世のインナーチャイルドの影響の可能性があります。

まとめ

インナーチャイルドは、いくつになっても潜在意識の中に存在し続け、私たちに影響を与えています。そして、人生の中で起こる様々な不都合や生きづらさは、インナーチャイルドを癒すことで改善できる場合があります。

過去の感情に向き合う時には、インナーチャイルドが再び傷つくことのないように、安心できる環境で、信頼のできる専門家と一緒に取り組むとよいでしょう。

また、インナーチャイルドの癒しにどれだけ取り組んでも変われない方や、インナーチャイルドに向き合うこと自体を難しく思う方は、過去世のインナーチャイルドも視野に入れてみることをお勧めします。


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