よく欧米のヒーリングで、ヒーリングを行うには当人の許可を得る必要がある、ということを聞きますが、アニカではそれはありません。アニカでは、顕在意識の許可をもらう必要はありませんが、潜在意識が感じられたくないと思う感情は、いくら感じようとしても感じられないからです。
アニカは、ネガティブを感じられないと処理できませんから、感じることを拒否されると効果がありません。
私はクライアントさんのネガティブが感じられない、ということは、ほとんどないのですが、過去に一度だけ、ぜんぜん感じられなかったことがあります。その方は女性でしたが、家族や会社に対して、すさまじい怒りがありました。セッションの最初にお話をうかがうのですが、ものすごい剣幕で怒りを吐き出していました。
しかし、いざ対面アニカを始めると、何ともネガティブの感じ方が薄いのです。一応、全身やってみたのですが、その方の怒りをアニカで感じることができませんでした。その方は怒ったまま、帰ってしまいました。
このように、本人が何らかの理由で、無意識のうちにでも自分のネガティブな感情を感じさせたくないという場合には、セラピストは感じることができません。アニカで効果を出すには、心を開いて、自分の心のなかにある真っ黒なネガティブをセラピストに見せる必要があるのです。
「自分の本当の苦しみをわかってくれる人なんて誰もいない」という強い信念が、自分の本当の感情を他人に見せることを妨げることがあります。もしかしたら、この方の場合、それが原因だったのかもしれません。
心を開けない理由はいくつかありますが、そのうちのひとつに、アシスタントの谷津絵美子が命名した「にょろ」があります。谷津によれば、「にょろ」は「霊能力系にょろ」と「人助け系にょろ」に分類されます。
「にょろ」とは、自分の心にネガティブがあることを見ないようにしている存在ですが、霊能系にょろも人助け系にょろも、自分のことはおざなりにして、他人のことばかりかまおうとします。
「自分は大丈夫」「自分のことは自分が一番よくわかっている」というのが、にょろの証明となるNGワードです。
にょろになったきっかけは、トラウマのような苦しみに満ちた出来事だったりするのですが、それを感じるのはあまりにもつらいので、なかったことにして、その代わりにその苦しみを外の世界に投影して、苦しんでいる人たちを一生懸命助けようとします。
しかし、潜在意識にネガティブな感情を押し込めたまま、いくら人助けをしても、自分の苦しみはいやされることはありません。これがにょろの悲劇です。
「にょろ」がいやされるためには、潜在意識に埋めて隠したネガティブを自ら掘り起こして向き合い、アニカでいやすならセラピストに見せる必要があるのです。
ちなみに、宗教などで、理想の人、良い人になろうとすることは、我慢したり、自分が感じたネガティブを押し殺すことになりますから、なかったことにされたネガティブは片っ端から潜在意識に埋められてしまいます。埋められたネガティブはなくなったわけではないので、潜在意識を介して、自分自身や周囲の人たちにじわじわと悪影響を及ぼします。
「愚痴を言ってはいけない」「人のことを悪く思ってはいけない」などの道徳的な信念が、本音をさらけ出すことを妨げている場合もあります。しかし、自分のなかにネガティブが生じるのは自然なことですから、無理に押さえつけると、当然、歪みます。
結局、本音はどのようなものであっても、外界にきちんと表現するほうが健全なのです。
そう、アニカは「本音で生きる」ことを目指すのです。
(続く)