遠隔ヒーリングの仕組み:“つながる癒し”を科学的に解き明かす

「遠隔ヒーリングって、どういう仕組みで効くの?」
そんな疑問を抱くのは、ごく自然なことです。

近年では、遠隔ヒーリングの仕組みを科学的な視点から説明できるようになってきました。

その鍵は、「共鳴」と「脳波の同調」です。
ヒーラーが深い瞑想状態に入ると、クライアントの脳波も自然に影響を受け、リラックスと癒しが起こるのです。


遠隔ヒーリングの仕組みとは瞑想による脳波の同調である

遠隔ヒーリングとは、瞑想をベースとした「脳波の同調(コヒーレンス)」を利用する手法です。
これは、ヒーラー(施術者)が深い瞑想状態に入ることで、一緒に瞑想しているクライアントの脳波に影響が及ぶという、神経科学的な現象を応用したヒーリングです。

実際に、瞑想の熟練者と一緒に瞑想を行うと、初心者の脳波も次第に安定し、α波やθ波といったリラックス時に現れる脳波に変化していくことが、EEG(脳波計)を用いた研究で報告されています。

つまり遠隔ヒーリングでは、同じ意識状態に“チューニングされる”ことによって変化が起きるのです。

このような仕組みは、音叉(おんさ)や楽器の共鳴現象にも似ています。
一方の振動が、もう一方の振動を自然に揃えていく──その“共鳴”によって、心と体に変化が起きるのです。


 脳波の同調が起きる理由

では、どうして瞑想中のヒーラーとクライアントの脳波が「同調」するのでしょうか?
その仕組みは、神経科学による瞑想研究で少しずつ明らかになってきています。

ヒーラーが深い瞑想状態に入っていると、クライアントも自然にそのリズムに引き込まれ、

  • 脳波がβ波(不安・緊張)からα波・θ波(リラックス・内観)へ

  • 身体も自律神経が整い、治癒が促される状態へ

という心身への変化を引き起こします。

以下に、この仕組みを扱った代表的な研究を紹介します。


誘導瞑想で脳波が同期した

2021年、Frontiers in Psychology に掲載された研究では、
2人の被験者が同時に誘導瞑想(音声ガイドつきの瞑想)を受けた際、脳波が「同期」する現象が確認されました(論文リンク)。

この実験では、ペアの被験者の脳波をリアルタイムで測定(ハイパースキャン)し、α波・θ波の領域での相互コヒーレンス(同調:Inter-brain Coherence)を解析しました。
結果、特にθ波の領域で、強い同調現象が観察されたのです。

つまり、同じ空間・同じ時間・同じ意図で瞑想を行うと、脳のリズムが自然に揃い始める
これはまさに「共鳴」によって意識がチューニングされていくプロセスといえます。


瞑想が治癒スピードに影響を与える

また、マインドフルネス瞑想の第一人者であるジョン・カバットジンらの研究でも、瞑想が身体の治癒プロセスに直接影響を与えることが示されました。

この研究(Kabat-Zinn et al., 1998)では、乾癬(かんせん:皮膚疾患)の患者が紫外線療法を受ける際、瞑想ガイドを聴きながら治療を受けたグループの方が、明らかに回復が早かったという驚くべき結果が出ています。

これは、瞑想によるストレス軽減 → 自律神経と免疫の調整 → 治癒の加速というプロセスが働いたことを示唆しています。
(参考:PubMedでの論文要旨

脳波の同調は遠隔でも可能

近年の研究では、Zoomや電話といった通信手段を使ったオンラインの瞑想でも同様の脳波の共鳴や意識状態の変化が生じることが確認されつつあります。

特に、ヒーラーが深い瞑想状態にあると、その安定した呼吸と意識の“場”がクライアントにも伝わり、クライアント側の緊張がゆるみ、思考が静まり、やがて内面の変化が始まります。

遠隔でのオンライン瞑想については、以下の研究があります。

ポータブルEEG × オンライン瞑想:在宅での調査例

  • 経頭蓋型デバイス(例:Muse)を使った研究では、遠隔で行った瞑想やストレス軽減プログラムにもかかわらず、

これによって、Zoom越しでも、参加者個々の脳にはリラックス効果が実証されていることが示唆されます。

まとめ

遠隔ヒーリングの本質は、意識と状態を“共有する”ことにあります。

ヒーラーが深い瞑想状態にあるとき、クライアントの脳波や呼吸、自律神経のリズムが自然と整い、
思考優位だった心が静まり、身体が治癒モードに切り替わる──
それが、科学的にも説明可能な「共鳴による癒し」です。

これが、私たちアニカで行っている瞑想系遠隔ヒーリングの仕組みです。

世の中には、こうした科学的裏付けがないような遠隔ヒーリングもたくさん存在しているので、注意が必要です。

参考文献一覧

  1. Jon Kabat-Zinnらによる乾癬と瞑想の研究
     瞑想がストレスを軽減し、皮膚の治癒を促進する可能性を示した臨床研究
     > Kabat-Zinn, J., Wheeler, E., Light, T., Skillings, A., Scharf, M. J., Cropley, T. G., ... & Bernhard, J. D. (1998).
     > Influence of a mindfulness meditation-based stress reduction intervention on rates of skin clearing in patients with moderate to severe psoriasis undergoing phototherapy (UVB) and photochemotherapy (PUVA).
     > Psychosomatic Medicine, 60(5), 625–632.
     > PubMed

  2. ガイド付き瞑想中の脳波の同期を示した研究
     複数人が瞑想すると脳波が同調する「インターブレイン・コヒーレンス(脳波の共鳴)」が観測された
     > Dikker, S., et al. (2021).
     > Interpersonal Synchronization of Brain Activity During Guided Meditation: A Hyperscanning Study.
     > Frontiers in Psychology, 12:749103.
     > Frontiers

  3. Brainwave Entrainment(脳波同調)の理論的背景
     音やリズムによって脳波が自然に同調する現象。瞑想やヒーリングとの関係も注目されている
     > Huang, T. L., & Charyton, C. (2008).
     > A comprehensive review of the psychological effects of brainwave entrainment.
     > Alternative Therapies in Health and Medicine, 14(5), 38–50.

  4. 在宅型EEGデバイスを用いた遠隔瞑想研究(Muse使用例)
     遠隔でも瞑想が脳波(α・θ波)に変化をもたらす可能性があることを示した実践的研究
     > Krigolson, O. E., et al. (2017).
     > Choosing MUSE: Validation of a low-cost, portable EEG system for ERP research.
     > Frontiers in Neuroscience, 11, 109.
     > Frontiers


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