心のなかには、人生の邪魔をするような思考や感情がたくさん潜んでいます。それでは、いったいどのようにして、こうしたネガティブな思考や感情が、人の潜在意識のなかに潜り込むようになったのでしょう?
楽しい感情、うれしい感情だったら、私たちはいくらでも抵抗なく感じることができます。しかし、人生は楽しいこと、うれしいことばかりではありません。
親子、兄弟姉妹など家族から何かされて嫌な思いをしたり、結婚生活でトラブルがあったり、お舅さんやお姑さんとうまくいかなかったり、子育てでイライラしたり、仕事で上司から理不尽に怒られたり、同僚からいじめられたり、友人とけんかしたり、お金の不安があったり、自分の価値を見失ったり、人生には嫌なことがたくさんあります。
普通だったら、そのような場合に心にわきあがってくる感情は、時間がたつにつれて自然に消えていくでしょう。しかし、嫌なことが何年も続いたり、ものすごくショッキングな出来事があった場合、私たちは自分の心にこみ上げてくる感情に耐え切れなくなります。そして、まるでそんなことはなかったかのように、ネガティブな感情を感じることを拒否します。
この感じることを拒否された感情が、潜在意識にもぐるのです。ネガティブな感情を感じることをやめたからといって、その感情はなくなりません。潜在意識に何十年も残って、今現在の生活に悪影響を与えることがあるのです。
自分が拒否した感情ですから、自分に悪影響があるのは仕方ないことだといえるかもしれません。しかし、私たちの潜在意識は、縁のある他者につながっています。
たとえば、竹藪の竹は、地表では1本、2本と数えることができる個別の存在のように思えますが、地中では根を共有して、まるでひとつの生命体のようにして存在しています。それと同じく、物理的な身体をもっている私たちは、一見それぞれが個別の存在のように思えますが、目に見えず手で触れることもできない心の世界では、縁ある者同士が潜在意識を通してしっかりとつながっています。
その典型例が家族です。潜在意識に潜った感情は、潜在意識でつながっている家族(特にまだ自我のさだまっていない子ども)にダイレクトに影響を与えます。なぜなら、小さな子どもは親、特にお母さんを24時間、常に感じているからです。