それでは、アニカのやり方をご紹介しましょう。
アニカでは、相手の身体に手をあてて、相手と自分の全体をひとつのまとまりとして感じます。
このとき、感じるものは何でしょう? もし、この世界がすべてモノでできていたら、そこで感じられるのは、手をあてている部分の体温、服の感触、外気温などだけでしょう。
しかし、たとえば私は、アニカをしているときに、そうした物理的な情報の他にさまざまな感覚を感じます。
私は主に頭のなかの触覚として感じているのですが、脳をわしづかみにされたり、頭のなかをかき回されたりする感覚を感じることがあります。そして、そうした強い動きを感じているうちに、だんだんその感覚が落ち着いてくるというか、消えていくというか、空っぽになっていく感覚がするのです。そこでアニカを終了します。
すると、相手が感じていた身体の痛みや心の悩みが消えてしまう、という現象が起こるのです
私が感じている感覚がモノの世界の情報ではないとしたら、私は何を感じているのでしょう? それは人間の思考や感情を体感に置き換えて感じているのではないか、と考えています。
後々わかってきたことは、私がアニカをした人もまた、アニカができるようになります。つまり、他人に触れて感じてみると、物理的な感覚以外の何かが感じられ、それを感じ切ると、相手の痛みや苦しみが消えるのです。
こうしたことから、アニカは超能力のような特殊能力ではなく、「感じる」という誰もがもつ能力を活用しているだけではないか、と考えています。
なぜ、「感じる」ことで人の痛みや苦しみが消えるのか、次回はもう少しその仕組みを解明してみましょう。
(続く)