
「自分を大切にできる子に育ってほしい」「できるだけ自己肯定感の高い子になってほしい」
そう願い、子育てに向き合っている方は多いのではないでしょうか。
自己肯定感を育むうえで、母親との関係は大きな影響を与えます。
特に幼い頃の声かけ・接し方はとても重要です。
この記事では、子どもの自己肯定感を育てるために大切なことを伝えていきます。
今の親子関係を振り返りながら「子どもの未来のために、今できること」を見つけてみてくださいね。
なぜ自己肯定感は母から影響を受けるのか?
子の自己肯定感は母から大きな影響を受ける傾向にあります。
なぜなら多くの子どもにとって、最も多くの時間を共にするのが母親だからです。
そして、その時間の過ごし方(子どもとの接し方)が自己肯定感に影響を及ぼします。
その理由を順を追って説明します。
父と比べ母の方が子と過ごす時間が多い
さっそくですが以下のデータをご覧ください。
上記は独立行政法人国立女性教育会館による「家庭教育に関する国際比較調査」で掲載されている『平日に子どもと一緒に過ごす平均時間』をまとめた図です。簡潔にまとめると以下の通りです。
- 父:3.1時間
- 母:7.6時間
- 差分:4.5時間
つまり、母は父と比べて2倍以上の時間を子どもと過ごしていることになります。
その影響もあってか、子どもの自己認識(感情や価値観など)は、父親よりも母親に似るという研究結果もあるくらいです。
父子間には全く認められない自己認識の類似性が、母子間には見られることがわかっている。
母の子どもとの接し方が自己肯定感に影響を及ぼす
そして最も多くの時間を過ごす母の、『子どもとの接し方』が自己肯定感に影響を及ぼします。
結論は以下の通りです。
- 子どもの気持ちに寄りそう接し方:自己肯定感を上げる
- 子どもを支配する接し方:自己肯定感を下げる
子どもをコントロールしようとすればするほど、子どもの自己肯定感を下げることに繋がります。
反対に、子どもをコントロールしようとせず、子どもの気持ちに寄り添おうとすればするほど、子どもの自己肯定感を上げることに繋がります。
それにまつわる研究結果を2つ紹介します。
(1) 寄り添いの度合いが弱ければ自尊心が低くなる傾向にある
2022年に発表された研究では、子どもに寄り添えば自尊心が高まり、寄り添わなければ自尊心が低下する傾向を示しました。
本研究では、韓国の母親の出生から3歳までのレスポンシブ子育ての軌跡を特定し、小学1年生の子どもの自尊心との関連を調べた。韓国の母親は、出生から3歳まで、低(19.0%)、中(66.0%)、高(15.0%)の3つのレスポンシブ子育てパターンのいずれかを形成した。子どもの自尊心は、母親のレスポンシブ子育ての軌跡によって異なった。低いレスポンシブ子育ての軌跡を示す母親を持つ小学1年生は、中程度のレスポンシブ子育ての軌跡を示す母親の子どもや高いレスポンシブ子育ての軌跡を示す母親の子どもよりも自尊心が低い傾向があった。
子どもの発言や感情に対して、母親が気持ちに寄り添って対応するため、子どもは「自分は大切にされている」「自分には価値がある」と感じやすくなると言えます。
(2) 親が子どもを心理的に支配することで自尊心が低下することが予測される
米国と中国の子どもを対象とした研究では、親の心理的支配によって6ヵ月後〜18ヵ月後に自尊心が低下することが予測されると報告されています。
横断研究や縦断研究では、親が心理的に支配的であると認識している子供は、自尊心が低い、または低下している傾向があることが一貫して明らかになっています。
米国と中国の思春期前期の子供を対象に、親の心理的支配によって 6 か月後の自尊心の低下が予測されることが示されました。別の研究では、親の心理的支配によって、やはり米国と中国の思春期前期の子供を対象に、約 18 か月後の自尊心の低下が予測されることがわかっています
以上をまとめると、子どもの自己肯定感が母から影響を受ける理由は、『母が最も子どもと接する時間が多く、そのうえで子どもとの接し方が自己肯定感に影響を与えるから』となります。
もしあなたが子育てでお悩みなのであれば、子どもとの接し方を見つめ直すと良いでしょう。
自己肯定感を下げてしまう母親の特徴3つ
自己肯定感を下げてしまう母親の特徴を3つ紹介します。
過保護
子どもを守りたいという思いから、つい過保護になってしまう方も多いでしょう。
しかし、それが子どもの自己肯定感を下げる原因になることがあります。
ある研究では、母親の統制的な育て方が、子どもの自己否定感を高めることが示されています。
母親の統制的な養育態度が自己否定感を若干高めてしまう効果を有することを明らかにしている。したがって,過保護な養育態度によって自主性やアイデンティティの獲得が阻害されることで,自己不全感を高めるというような内的側面の過剰適応を強めていると考えられる。
過保護な環境では、子どもが自分で判断したり挑戦したりする機会が少なくなります。
そうなると「自分にはできない」「自分は価値のない存在だ」と感じやすくなってしまうのです。
過保護によって「自分にはできる」という感覚が育たないと、子どもは自信を失ってしまいます。
可愛いわが子だからこそ、つい過保護になってしまいがちですが、子どもの力を信じて「任せる」という姿勢を持つことがとても大切です。
否定的
否定的な態度や言葉は、子どもの自己肯定感を大きく傷つけてしまうので注意しましょう。
特に母親からの否定的な言葉は自尊感情を妨げるという研究結果も出ています。
親からの否定的な言葉,特に母親からの否定的な言葉は,子どもの自尊感情の発達を妨げ,低くすることにつながると考えられる。
- そんなこともできないの?
- また失敗したの?
このような否定的な言葉が続くと、子どもは塞ぎこんでしまいます。
何かに挑戦して失敗したときに「ほら、やっぱり無理だったじゃない」と言われると、頑張っても意味がないと感じてしまうでしょう。
子どもは本来、可能性の塊です。
その力を信じて「挑戦できてすごいね!」と励ます言葉をかけていきましょう。
放任的な態度
子どもに対して「何も言わない」「何もしない」このような態度にも気を付けましょう。
自己肯定感を低める養育態度として[放任]があり,どのような場面においても「何も言わない」という態度は自己肯定感を低下させることが明らかになった
引用:自己肯定感と親の養育態度
この通り、無関心な態度は子どもの自己肯定感を下げることになります。
子どもが頑張っているときや、失敗して落ち込んでいるときなど、「関心を持って関わる姿勢」がとても大切です。
放任や無関心にならず必要なときは手を差し伸べる、そんなあなたの関わり方が子どもの自己肯定感を育てていくでしょう。
子どもの自己肯定感を上げるためには“まず自分を癒すこと”
子育ても重要ですが、まずは自分を癒すことを優先としていきましょう。
母親であるあなた自身の心が満たされていることが大切です。
子どもは自分といることを喜ぶ親を見て,自分の存在価値を実 感すると述べるように,親自身が子育てを楽しむこと,子どもとの時間を大切に思うこと は,子どもの自尊感情を育むことにつながる。
心に余裕があるからこそ、子どもにやさしく寄り添うことができます。
喜んで子育てをしている姿は、子どもにとっても「愛されている」という実感が湧き、自己肯定感も育まれていくでしょう。
ここからは癒す方法について紹介していきますので、できる範囲でチャレンジしてみてくださいね。
セルフコンパッションを意識する
自分への慈しみを「セルフコンパッション」と言います。
他人を扱うように自分自身も大切に扱うことです。
セルフコンパッションを高めることで、焦りやマイナス思考など悲観的な感情が少なくなり、自分にとってマイナスな出来事が起きても冷静に、適切に対応できるようになります。また、仕事でもプライベートでもストレスを感じづらくなるため、悲しみや怒り、嫉妬のようなネガティブな感情を抑えられるようになります。そのため、心に余裕がある状態になり、心の病にかかりづらくなっていきます。
- あなたはあなたのままで大丈夫
- いつも頑張ってるの知っているよ
このような言葉を、自分に向けてつぶやいてみてください。
最初は照れくさいかもしれませんが、続けていくうちに心が癒されていくでしょう。
少しずつでもいいので、今日から優しい言葉を自分にかけてみてくださいね。
完璧な母親ではなく“自分らしい母親”を目指してみる
完璧な母親を目指すのではなく、“自分らしい姿をそのまま子どもに見せられる等身大の母親”を目指してみましょう。
完璧を求めすぎると心がどんどん疲弊してしまいます。
以下の論文にもあるように、高すぎる理想は精神的健康を害する可能性が高まります。
高すぎる理想を根気強く追い求めることにより,精神的健康を害する場合もある。例えば,中野・臼田・中村(2010)では,完璧主義者は,自分の人生についてあら捜しばかりして,自分に自信が持てず,非現実的な高い理想を持っているとしており,完璧主義と抑うつ,不安,強迫症状,摂食障害などのさまざまな精神的不適応との関係が指摘されていると述べている。
子どもは、母親の機嫌や気分にとても敏感です。
完璧さを追い求めるあまり、いつも余裕がなくピリピリしていると子どもの心が不安定になってしまいます。
“家事や育児が完璧”より“お母さんがリラックスしている”のほうが、子どもにとってはずっと大切なのです。
あなたが笑顔でいるだけで、家庭の雰囲気はずっと穏やかになります。
完璧主義を手放し、機嫌のいい母親を意識してみましょう。
実母との関係にストレスを感じていないか
母親はとても頼りになる存在ですが、関係性にストレスを感じていないでしょうか?
母親とのやりとりや関係にストレスを感じたことがあるか?というアンケートに対して、60%以上の方がストレスを感じたことがあると回答していました。
最近、実母とのやりとりや関係にストレスを感じたことはある?
このように多くの方が母親との関係にストレスを感じています。
もしストレスになっている…そう思うなら、母親と適度な距離を意識してみましょう。
母親と深く関わりすぎてストレスを感じるなら、「無理に仲良くする」よりも「ほどほどの距離感」を意識することが大切です。
あなたが母親に対して無理をして合わせていると、あなたの子どもも「誰かに合わせすぎる」ことを学んでしまうかもしれません。
まずは自分の気持ちを優先し、自分にとって心地よい関係性を築いていきましょう。
幼い頃にかけられていた言葉を思い出してみる
あなたは、子どもの頃にどんな言葉をかけられて育ちましたか?
幼少期にかけられていた言葉は、知らず知らずのうちに自己イメージを作り上げていきます。
家族や親からの評価は、自己の価値観の形成に大きく影響を与える要素となります。こうした中で、継続的に否定的な言葉や態度を受け取ることは、子供の自己肯定感を低下させる原因となります。
物事をネガティブに捉えがちで「どうせ私なんて…」と感じることが多いなら、子どもの頃にかけられていた言葉が影響しているかもしれません。
母親からの言葉は、気づかないうちに自分の言動としてあらわれることがあります。
子どもが失敗した時に「なんでそんなことしたの!?」と反射的に言ってしまう場合、あなたがお母さんによく言われていた言葉かもしれません。
まずはどのような言葉をかけられてきたのか、ゆっくり振り返ってみましょう。
行動で変われない場合は「心の奥」に目を向けてみる
自分自身を癒す方法を試しても、なかなか心が晴れない…そんな時は、心の奥=潜在意識に目を向けることが大切です。
ヒーリングメソッドの「アニカ」では、心の中には先祖や過去世など、自分に縁のある存在(ルーツ)があるとされており、その感情の記憶が今の私たちの生き方や感情に影響していると考えられています。
心のなかの存在は、先祖、過去世、ソウルメイトなど、自分に縁のある過去に生きた存在(アニカでは「ルーツ」と呼んでいます)であり、彼らが自分たちの人生で経験して生じた感情の記憶が心のなかに残っていて、今を生きる私たちの人生に大きな影響を与えていると考えています。
ポジティブな言葉や態度を意識しても、なぜか同じことでイライラし、自己嫌悪になることもあるでしょう。
それは、無意識のうちに根づいている思い込みや感情が心のブレーキになっている可能性があります。
子どもにイライラしてしまった時「なんで優しくできないんだろう」と責めるのではなく、今までどんな思いを押し込めてきたんだろう?と、自分の内側の声に耳を傾けてみることが大切です。
行動だけでは変えられない時こそ、心の奥にある“思い込み”や“感情のクセ”に気付くチャンスであり、子どもを育てる中で心に残っている昔の傷も一緒に癒すことができるのです。
子どもの自己肯定感を上げるための3つの接し方
子どもの自己肯定感を上げるためにできる方法を紹介します。
子どもを褒める
子どもに「すごいね!」「よくやっているね!」このように些細なことでも褒めてあげましょう。
子どもの成功体験を一緒に喜び、褒めることにより自己肯定感が高まっていくのです。
褒めることで子どもは失敗しても次への意欲につながると以下の論文にも記載があります。
子どもを褒めたり一緒に喜んだり励ましたりという養育行動が自己肯定感を高めること,失敗しても「次は頑張れ」と励まされることで次への意欲につながり,自己肯定感を高めていると考えられる
引用:自己肯定感と親の養育態度
特別なことをしなくても行動や成長を褒めることで、子どもの心の栄養となっていきます。
今日から少しずつでいいので「褒める」ことを意識していきましょう。
子どもに役割を与える
子どもにはぜひ、役割を与えましょう。
役割を達成し、親が褒めることで成功体験を感じることができます。
成功体験を重ねることにより、自己肯定感が高まるでしょう。
このような体験を積み重ねることで、子どもは「自分にはできることがある」「必要とされている」という実感を持つようになります。
自己肯定感を高めるためには、
- 他者との協働のなかで、子供たちが自分の役割を果たすとともに、
- 子供たちが集団又は個人の目標を達成した際に、
周りの大人が認めることにより、成功体験を感じさせる
大きな役割でなくてもかまいません。
お箸を並べる、弟や妹のお世話をする、ペットの世話をするなど「任される → やってみる → 褒められる」という流れをつくっていきましょう。
学業について過剰に干渉しない
つい「勉強しなさい」「宿題は終わったのか」と口を出してしまいたくなると思いますが、過剰に干渉しないようにしましょう。
以下の研究でも、親の学業干渉が小さい方が子どもの自己肯定感は高いという結果になっています。
親の学業干渉が小さい(成績・学業について口うるさくない)、親戚との関係が良好な子どもは自己肯定感が高かった。
そのため、親は「信じて見守る姿勢」を大切にしましょう。
「宿題やった?」「テストは大丈夫だったの?」など、口を出す前に、一歩引いて子どもの様子を見守ることが、自己肯定感を高めるきっかけとなるのです。
まとめ
子どもの自己肯定感を育てたいと思った時、本当に大切なのは、母親であるあなた自身の心が“満たされているかどうか”です。
そしてもうひとつ。あなたが子どもの頃に、母親との関係の中で我慢した経験や傷ついた記憶が、気づかないうちに、子どもへの接し方に影響していることもあります。
まずは、今までの自分の気持ちに気づき、そっと労わってあげましょう。
完璧な母親を目指すよりも、少しでも笑顔でいられる時間を増やすことのほうが、子どもにとって大きな安心になります。
あなたが自分を大切にする姿は、子どもへの自己肯定感が高まるきっかけとなるでしょう。
この記事を書いた人

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2011年の秋に瞑想を通じて独自のヒーリング技術を発見。心の悩みが解消されていくことを実感し、そのヒーリング技術を「アニカ」と名付ける。2016年に書籍出版、銀座サロン開設。これまで3,000人以上を癒し続けている。
SNSはこちら
・Instagram:https://www.instagram.com/koichiro_takigami/
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