その男性がアニカを受ける前に、彼のお母さんが対面アニカを受けにきてくれました。
施術が終わってお茶を飲みながら話をしていたときに、やっとお母さんは本題を話し始めたのです。
息子さん(当時40歳ぐらいだったと思います)は、子どものときから優秀で、出身大学も誰もが知っている有名校だったのですが、就職先でうまく行かなくなって仕事をやめてから職場を転々とし、今はすっかり引きこもりになってしまって、何年もお母さんと2人で暮らしているというのです。
帰ったら息子にアニカのことを話してみる、ということで、その日はお帰りになったのですが、しばらくしてから息子さん(仮にKさんとしておきます)がひとりで対面を受けに来ました。
本人はアスペルガー(自閉症)と診断されていると言っていました。
対面で感じてみると、やはり相当な怒りをため込んでいることが感じられました。
施術後にKさんとお話をしたのですが、ずいぶん久しぶりに身体も精神的にも楽になった、ということでやる気になって、その後、マスターコースへと進んだのです。
マスターコースに初めて来たころは、口数少なく不機嫌そうで、人生捨ててる、みたいな雰囲気が漂っていました。しかしアニカのいいところは言葉を使わないところなので、横になって他のベテラン受講生さんに対面アニカをしてもらうだけで、少しずつ彼のネガティブはクリアされていったのです。
マスターコースのランチでは、緊張している人のためにアルコールを飲んでも良いことになっているのですが、Kさんはランチにビールを飲んで、午後はアニカを受けながらグーグー寝ていました。話を聞く限り、実家ではそんなにリラックスすることはできなかったのではないかと思います。
マスターコースは全部で7か月なのですが、4か月ぐらいたったときのことだと思います。
お母さんから連絡があって、Kさんがゴミ屋敷のようになっていた自分の部屋を「断捨離だ」と言って急に片づけ始めてとてもきれいになった、とのことでした。
その次にコースに来られたときに、Kさんのあまりの変わりようにみんなビックリしてしまいました。それまでは、いかにも「引きこもり」という部屋着のような服装だったのが、身ぎれいにしてジャケットまで着ているのです。たぶんもともとおしゃれな方だったのでしょう。
ランチを食べに行くときに、彼がコンビニで買い物をするというので、他のみんなにお店に先に行ってもらって、私はコンビニの前で彼が出てくるのを待っていました。
ところが、待てど暮らせど彼が出てこないのです。そのまましばらく待っていると、アシスタントの谷津が向こうから「どうしたのですか~?」と声をかけてきました。
「Kさんを待ってるんだよ」というと、「Kさんなら、もうみんなといっしょにお店に向かってますよ」というのです。
たぶん私は変わる前のKさんの姿をイメージして待っていたので、発するものがまったく違ってしまったKさんが目の前を通りすぎたのに気付かなかったのですね(驚)。
その後、お母さんから連絡があり、Kさんが年末の郵便局のバイトに行った、バイトとはいえ仕事をするのは何年ぶりかのことだととても喜んでいました。
その話を聞いて、私たちアニカ仲間もとても喜びました。