責任を取る親

今でも覚えていますが、私は小学生のときから家を出たかったです。しかしそれが実現したのは大学を出て就職した翻訳会社で最初のボーナスが出た15年も後のことでした。単身引っ越しの小さなトラックに荷物を積んで助手席に乗り込んで走り出したときの解放感は今でもよく覚えています。それから半年近くも実家に帰りませんでした。しかし、それで親から解放されたかというと、そう簡単にはいきませんでした。25年近くいっしょに生きてきた親のネガティブは私の潜在意識に深く刷り込まれていたからです。

私は、子どもが経験する不都合のほとんどは、親のネガティブに原因があると考えています。でも、ほとんどの親は自分のネガティブの責任を取ろうとはしないでしょう。そもそも自分が潜在意識に押し込んでいる我慢などのネガティブ感情が子どもに影響を与えているなど考えもしないでしょう。

親の責任は、子どもたちが安心して暮らせる家庭をつくることだと思いますが、そんな家庭をつくることはそう簡単なことではありません。なぜなら、親もまた安らぎのない家庭で私のように早く家を出たいと願っていたかもしれないからです。

子どもが自分で責任を取れるようになるには時間がかかります。私も小学生に家を出たいと考えてから実現するまで十数年かかりました。物理的に家を出たからといって、即座に親の影響から解放されるわけではありません。20代半ばまでにコピーした親のネガティブは、つい最近まで私に影響を及ぼし続けてきました。

ですから、親が自分のネガティブに責任を取ることができれば、そんなによいことはありません。たとえ子どもがいなくても、自分が経験する不都合をなくすという意味では、自分のネガティブに取り組むことほどよいことはないのです。でも、もし誰かの親だったら、自分の潜在意識をきれいに掃除することは、次の世代に対する究極の贈り物になることは間違いありません。

一昨日、谷津絵美子の小学生の次女さんが、初めてのスキー合宿から帰ってきて、「やっぱり家が一番いいな~!」と言っていたそうです。私が小学生のときは、とてもそうは思えませんでした。彼女は、私が我慢して実家で過ごした十数年プラスその後の人生もずっと、家や家族に対して私が抱いていたようなネガティブな感情なしで生きていけるでしょう。そして将来は、子どもが安らげるような幸せな家庭を作るのではないかと思います。

自分のネガティブに責任を取ることができる親のもとに生まれて、彼女はとてもラッキーだと思います。