アニカを一回受けると、アニカができるようになります。
これは、アニカの抽象度の高い観点が、セラピストからクライアントの潜在意識にコピーされることを意味します。
観察の瞑想をやり込んで、自分で抽象度を上げる(客観的な観点を身につける)ことをしなくても、アニカというすでに確立した抽象度の高い観点をコピーすればよいので、手っ取り早いのです。
アニカのコピーは、人間なら誰でももっているミラーニューロンを使って行われます。ミラーニューロンは、共感や能力のコピーなどをつかさどる脳神経細胞です。たとえば、スプーン曲げができる人の隣でスプーン曲げをやってみると、簡単にできてしまう場合があります。言葉でやり方を教わらなくても、見ているだけでそばにいる人の能力がコピーされるのです。
アニカの能力を伸ばすには、コピーされたアニカの観点を使ってアニカを実践することにより、感じる力を深めていきます。具体的には、マスターコースでいろいろな相手とアニカをしていくことによって、感じる力は深められていきます。
マスターコースのベーシックでは身体に手を触れて行う対面アニカ、アドバンスでは身体的接触なしに相手を感じる遠隔アニカを学びます。
科学的な常識では、身体的な接触なしに何かが感じられることはないと考えられていますが、もともとアニカで身体に触れて感じられるものは、物理的なモノの感覚ではありません。物理世界を超えたメタフィジックな、目に見えない心の世界を感じているのです。心の世界は、身体に手を触れていなくても感じることができます。これが遠隔ヒーリングの基礎をなしています。
心の世界には、時間も空間もありません。そこには過去に生きた多数のルーツ(先祖・過去世)が住んでいます。
ルーツをいやすのに、アニカでは情報空間上の(つまり心のなかの)仮想の温泉施設、南阿蘇アニカ温泉にルーツ全員をご招待して、満たされなかった思いを満たしてもらう、ということを行っています(私が住んでいた南阿蘇の温泉からインスピレーションを受けて作りました)。これがなかなか効果があるのです。
心の世界の住人であるルーツがいやされると、心のなかのネガティブな感情が減るのですから、今生に生きる私たちも楽になっていきます。
ところで、こうやって感じるトレーニングをしていっても、なかなか「感じられない」という人がいます。現代人は自分が感じていることを無視して、もっぱら外の世界の常識や取り決めに従って、本当はイヤなことも仕方なくやっている側面があります。生活費を稼ぐためには、興味のない仕事、イヤな仕事もやらなければならない、と思っています。自分が我慢すれば人間関係はうまくいく、と信じているのです。
そういうことを続けていると、本当は自分が何を感じ、何をやりたいのか、わからなくなってしまいます。「自分が本当は何をやりたいのかわからない」という人が多いのは、日常的に我慢してイヤなことをやっているからです。
「そうはいっても」という人は、抽象度の低い「主観的な思い込み」にとらわれています。「でも現実はこうだから」というのは、あなたの脳の内部モデルに蓄積された記憶による妄想であり、そこにはルーツのネガティブな思い込みがたっぷり含まれています。
以前にも書きましたが、あなたが「現実」だと思っているものは、記憶で作られた脳内の内部モデルでできていることが科学で実証されています。つまりこの「変えようのない現実」は、あなたの記憶とルーツの記憶が作り出したものなのです。アニカは、あなたの内部モデルのなかにある、都合の悪い世界を作り出す原因(=ネガティブな感情記憶)をきれいに取り除いていきます。そうすることにより、あなたの「現実」は、自分の都合の良いものに変化していきます。
アニカで感じるトレーニングをしていくと、それまで無視してきた「自分が本当は何を感じているか」がはっきりと感じられるようになり、しまいにはそれが否定しがたいほど大きくなります。こうなると、周囲から何を言われても、「私はこう感じているから」とはっきり自分を主張できるようになります。そして不思議なことに、周囲の人たちもその臨場感に巻き込まれて、手のひらを返したように肯定的な態度で接してくれるようになります。
本当に自分が感じていることを認めるには、自分の意に反してやっている「イヤなこと」をやめる必要があるのです。
(続く)