
父は、決して悪い人ではない。
むしろ、家族のために一生懸命働いてくれたし、世間的には「良い父親」と言えるのかもしれません。
それなのに──
なぜか、好きになれない。
話しかけられると、どこかよそよそしくなる。
感謝の言葉を言おうとすると、喉の奥でつかえて出てこない。
そんな自分に、罪悪感を覚えたことはありませんか?
「自分に何か問題があるのかもしれない」
「もう少し仲良くなれてもいいんじゃないか」
頭ではそう思って何かしてみようと思うのだけれど、どうしたらいいかわからない。
その思いが、あなたを苦しめているのではないでしょうか。
無理に「父を好きになろう」としたり、
表面的に「ありがとう」と言葉だけを繰り返したりしても、心はついてきません。
この“好きになれない気持ち”は、嘘でも何でもないあなたの気持ちなのですから、
まずは、そのままの気持ちを認めることから始めてみてはいかがでしょう。
父親から見たあなたはどんな存在?家庭における父親の女性との関係を理解する
自分はお父さんを好きになれない。では、父は娘である自分のことをどう思っているのだろう?
そう考えたことはありませんか?
それを知るには、まず父親が家庭の中で、女性とどのような関係性をもってきたかを知る必要があります。
父の感情のルーツは原家族にある
父親を好きになれない気持ちを整理するためには、
まず 父の家族に関する心理的背景を理解することが必要です。
私たちが普段目にしている父親は、仕事や家庭の中での「現在の姿」です。
しかし父親の心の奥には、幼少期から積み重ねてきた原家族での感情の記憶が残っています。
父と祖母(父の母)との関係が原点
心理学や家族研究では、男性の母親との関係は、その後の父性形成に深く関わることが知られています。
幼少期の男の子は、母親のまなざしや態度から
自分は受け入れられているか
甘えても大丈夫か
期待に応えられているか
を学びます。
例えば、父親が子どもの頃に母親に十分に甘えられなかった場合、
「自分は受け入れられない」という感覚が心の奥に残ります。
その感覚は大人になっても消えにくく、
家庭の中で無意識に家族と距離をとる、怒りっぽくなる、感情を出せないなどの行動に表れることがあります。
Cabreraら(2018)のレビュー研究でも、
父親の幼少期の養育環境と父性行動には強い関連があることが示されています。
母親に温かく受け入れられた男性は、父親になったときに子どもへの関与も柔らかくなりやすく、
逆に幼少期に拒否や過干渉を受けた場合、子どもと距離を置いたり威圧的になりやすい傾向があります。
原家族での感情が現在の家庭に持ち込まれる
あなたが子どものころに感じた「お父さんは怖い」「近づきにくい」という感覚は、
父自身の過去の感情パターンが、無意識に家庭に反映されている可能性があります。
自分の母親(祖母)に対する心の距離感
家族の中で果たしてきた役割(長男として責任を負った、末っ子で守られて育ったなど)
甘えや不満を表現できたかどうか
こうした経験の積み重ねが、家族に対する父の基本的態度となり、
無意識に現在の家族関係に影響しているといえます。
たとえば、父が祖母に厳しく育てられ、いつも緊張していたなら、
その緊張感は 家庭の空気 として伝わり、
あなたが「父といてリラックスできない」と感じる原因のひとつになるかもしれません。
父と母(妻)との関係が家庭の空気をつくる
父親が現在の家庭でどのように振る舞うかは、
母親(妻)との関係性 にも大きく左右されます。
娘であるあなたにとっては、父と母の間に漂う「家庭の空気」を、
子ども時代からずっと肌で感じてきたでしょう。
夫婦関係は家庭の感情トーンを決める
家族心理学の研究では、夫婦間の感情交流は、
子どもの情緒安定や親子関係に直結する と報告されています。
特に、父親が母親に対して
支配的で感情を抑えるタイプ
感情表現が乏しい、無関心なタイプ
逆に母に依存して感情的になるタイプ
のいずれかに偏ると、家庭全体の空気は重くなりやすく、
子どもは 「なんとなく息苦しい」 と感じます。
この息苦しさが長く続くと、
「父に近づくとしんどい」「父を好きになれない」という感情が
無意識に積み重なっていくのです。
Cummings & Davies(2010)の研究では、
夫婦間の葛藤や冷え込みは、子どもの情緒不安や父親への回避行動と強く関連する ことが示されています。
つまり、父を好きになれない気持ちは、
多くの場合 父個人だけではなく、夫婦関係が生み出す家庭内の空気の影響 でもあるのです。
娘は母の感情に共鳴しやすい
特に女の子は、母親の感情を無意識に受け取りやすい傾向があります。
母親が父に対して
怒りや不満を抱えている
我慢や諦めの感情を溜め込んでいる
場合、その感情は 家庭の空気 を通して娘に伝わります。
娘は「お母さんの味方」でありたいと思うため、
父との距離がさらに広がることがあります。
こうして、母の感情に共鳴した結果、“父を好きになれない” という状況が生まれるのです。
父と娘の関係に現れる感情の連鎖
ここまでで見てきたように、父親の感情には
原家族(祖父母)との関係
母(妻)との関係
という二つの背景があります。
この二つが重なった結果として、
父と娘の関係 が形づくられます。
父の感情は娘に「身体で」伝わる
子どもは、親の言葉だけでなく、
無意識の感情や身体の雰囲気を敏感に感じ取ります。
心理学や神経科学の研究でも、
親子は視線や声のトーン、姿勢を通して
自律神経や心拍リズムが同調することが示されています(Feldman, 2012)。
特に娘は、父が家庭で見せる
イライラした沈黙
無関心な態度
あるいは過剰な支配や干渉
などの「非言語的サイン」を
身体で受け取りながら育ちます。
その結果、父の感情に共鳴し、無意識に距離を取る という反応が生まれやすくなるのです。
「父が怖い」「居心地が悪い」は自然な反応
「父を好きになれない」という感情は、
単に気分やわがままではなく、
家庭の空気が重い
父と関わると緊張する
どこかで“拒否したい”と感じる
という 身体の防衛反応 であることが多いのです。
この反応はあなたの人格の問題ではなく、
家庭で長年繰り返された感情パターンの結果 と言えます。
父親の原家族から続く感情の共鳴を解く
「父を好きになれない」感情の正体
あなたが父親を好きになれない理由は、
わがままでも、未熟さでもありません。
その背景には、父親自身の心のパターンがあります。
多くの父親は、家庭の中で無意識に次の二つの感情を抱えています。
「家族と距離をおきたい」
家族と一緒にいると落ち着かない
自分の時間や世界に引きこもりたくなる
「自分の価値観に合わせてほしい」
「こうあるべき」という思いが強くなる
思い通りにならないと苛立つ
この二つは矛盾して見えますが、実際には多くの父親が同時に抱いている感情です。
家族と関わると「こうしてほしい」が先に立ち、思い通りにならないと無言で距離を置く──
その繰り返しが、家庭内で微妙な緊張を生むのです。
父の感情のルーツは「原家族」にある
繰り返しになりますが、ここで大切なのは、父のそうした感情は父の原家族にルーツがあるということです。
父が育った家では、次のような関係性が影響していることが多くあります。
祖母(父の母)との関係
過干渉・過保護で自由がなかった
逆に無関心・冷淡で愛情を感じられなかった
期待や価値観を一方的に押しつけられた
祖父(父の父)との関係
権威的で怖く、逆らえなかった
家庭で存在感が薄く、感情表現を学べなかった
このような家庭で育った父は、
「自分の気持ちはわかってもらえない」
「家族に合わせると窮屈になる」
という感情記憶を抱えたまま大人になります。
そして、自分の家庭を持ったときに無意識の反応として現れます。
妻や子どもに価値観を押しつける
思い通りにならないと距離を置く
無言の圧力で家族を緊張させる
つまり、あなたが父を好きになれないのは、
父自身の原家族の傷が、あなたの家庭に持ち込まれているからなのです。
子どもは父の感情を「身体で共鳴」する
幼い子どもは、言葉で説明されなくても、
家の中の感情を身体で感じ取る天才です。
父が無言でため息をつくと胸がざわつく
父が不機嫌だと、無意識に気配を消す
「こうしなさい」と言われる前に顔色を読む
こうして、父の原家族から受け継がれた感情が、
あなたの身体に共鳴して記憶されていきます。
やがて大人になっても続く感覚はこうです。
「お父さんに近づくと息苦しい」
「でも嫌いになっちゃいけない」
この矛盾が、心の中で罪悪感となり、
「父を好きになれない」という悩みを深くしていきます。
父を変える必要はない──共鳴を解くことが先
ここで忘れてはいけないのは、
父親を無理に変えようとしなくていい
無理に感謝したり許したりする必要もない
ということです。
父の感情は、父の原家族から続く歴史の中で形作られたものであり、
あなたの力で変えることはできません。
大切なのは、あなたの身体に残った父の感情への共鳴を解くことです。
身体に残った共鳴をほどくには?
頭で「お父さんも大変だったんだ」と理解しても、
身体に残った感情記憶は消えません。
だから必要なのは、身体レベルでの解放です。
そのためには、
家族でも友人でもない
安全でニュートラルな第三者
に、自分の中に残った感情を共鳴してもらうことが有効です。
このとき初めて、身体は安心し、
「もう怖くない」「もうここに残さなくていい」と手放せます。
未来の家族関係も変えることができる
父への共鳴を解くことは、現在の心を軽くするだけでなく、
未来の家族関係にも影響します。
父に似た男性を無意識に避けられるようになる
健全な父性をもつ相手と関係を築きやすくなる
自分が親になったとき、同じパターンを繰り返さずにすむ
つまり、父を好きになれない感情を癒すことにより、
過去の家系の連鎖を断ち切り、未来のあなたの家庭を健全なものにできます。
身体に残った感情の共鳴を解くセラピー「アニカ」
アニカは、この「感情の共鳴からの解放」を体系化したセッションです。
セラピストがあなたの身体に寄り添い
父の原家族から連鎖してきた感情を共鳴して受け取り
あなたが安全に手放せるようサポートする
このプロセスによって、
「父を好きになれない」という感情や罪悪感は少しずつやわらぎます。
すると不思議なことに、
無理に「好きになろう」としなくても、父との距離感は自然に整い、
やがて家庭内の空気もやわらかくなっていきます。
アニカで父親との関係が変化した事例
父への理由なき怒りが消えたMさんの体験
Mさんが遠隔アニカを受けた理由は、「父に対する理由のない怒り」でした。
子煩悩で優しい父に怒られた記憶はほとんどなく、自分でもなぜこんな感情が出てくるのかわからずに悩んでいました。
遠隔アニカのリーディングでわかったのは、その怒りは母親の感情だったということです。
母が父に対して抱えていたネガティブな感情を、Mさんが無意識に引き継いでいたのです。
セッション後、Mさんからは次のような感想が届きました。
「父への怒りは探さないと見つからないほどに消えました。
体は絶好調で、慢性的な倦怠感や貧血のようなふらつきも嘘みたいに消えました。
自分の感情だと思っていたものは、母の感情だったのですね。」
さらに驚くことに、セッション後は高齢のお母様の耳の聞こえが良くなり、声の調子も明るくなったそうです。
家族の感情が癒されることで、身体の不調までも改善されることがあるのです。
この体験は、次のことを教えてくれます。
自分の感情だと思っていたものが、実は家族から受け継いだ感情であることがある
家族の感情が解放されると、本人だけでなく家族の体調や感覚にも変化が現れることがある
身体は別でも、心は家族を通してつながっています。
もし父親に理由のない怒りやわだかまりを感じているなら、その感情はあなた自身のものではなく、家族の誰かの感情かもしれません。
「父が大好き」と思えるようになった谷津絵美子さんの体験
アニカ・マスターコースのリーディング担当である谷津絵美子さんも、かつては父に対する複雑な感情に苦しんでいました。
子どもの頃、同居していた祖母に傷つけられる母を見続け、
「母を守れない自分への失望」と「父への強い怒り」を抱えて育ちました。
さらに、思春期には姉と父の関係が悪化し、谷津さん自身も父に素直になれなくなりました。
父と話すと、最後には傷つけられて終わる
本当は受け止めてほしい、分かってほしい
でも、怖くて本音を言えない
そんなパターンを繰り返すうちに、産後鬱をきっかけに自己肯定感を失い、孤独感に苦しむ日々が続きました。
しかし、アニカを通して次第に心がほどけていきました。
子どもの視点ではなく、母の視点で父を見ていたことに気づく
本当は「私はずっと父が大好きだった」と感じられるようになった
マスターコースで仲間に受容される中で、孤独感や甘えたい気持ちが癒されていった
ある日、谷津さんは心から思いました。
「もう、父に傷つけられることは決してない」
今では、父と自然に「大好き」という思いを持ちながらコミュニケーションできるようになり、体調の悪いときには父にアニカをすることもあるそうです。
セッションを通して深く感じたのは、父もまた家族の中で理解されず、孤独や責任感に苦しんできたこと。
自分のネガティブな感情は、父と同じ傷つきやすさから生まれていたのだと実感しました。
「父が長年の苦しみから解放され、健康でいてくれることを願っています。
家族として共に生きられる時間に、この心の変化を得られたことに感謝しています。」
家族との関係が変わると、自分の心も大きく変わります。
父を理解し、心から「好き」と思えるようになったことは、谷津さんにとって何よりの癒しとなりました。
まとめ
父を好きになれない感情は、あなたのわがままでも、冷たい心でもありません。
その背景には、
父の原家族で生まれた感情の記憶
家族への「距離をおきたい」「価値観を押しつけたい」という無意識の反応
そしてそれを子どものときから身体で共鳴してきたあなた自身の感情記憶
が重なっているだけなのです。
お父さんを変えることはできませんが、
あなたの中に残った共鳴を解くことは可能です。
それによって、
父との距離感が自然に整う
無理に愛そうとしなくても、関係が穏やかになる
将来のパートナーシップや家族関係も安心できるものに変わる
つまり、家系における負の感情の連鎖を断ち切ることができるのです。
ぜひ、アニカを試してみてください。