最近、小山昇さんという経営者の本を読んでいるのですが、非常におもしろいことを書いていらっしゃいます。
(以下、「強い会社の教科書」小山昇(著)より。)
小山さんは、クセや欠点のある社員を積極的に昇進させているそうですが、なぜかというと「人間は、クセや欠点を取り除くと、バイタリティーがなくなる生き物だから」だそうです。
女性が読んだらギョッとするようなことも書いてあります。
「結婚後に、「女性をつまみ食いしない男性」は、悪いことをしないかわりに、良いこともしません。結婚したら「浮気はダメ」ですが、「つまみ食いはいい」。「浮気」とは、女の人の家に泊まること。「つまみ食い」とは、その日のうちに奥さんのところに帰ってくること。「定義」を明確にしなければいけません。」
「賞与をもらった際、奥さんに全額手渡す社員は、その後、出世していません。総務では、賞与袋を1000円で売っています。社員は新しい袋を買って、金額を書き換えて、奥さんに渡す。賞与が50万円だったら、20万円抜き取り「30万円」と書き換えてから渡す。」
ダスキンの事業をやっている小山さんの会社は、社員の70%が女性なのですが、こんなことを堂々と自著に書いてしまっています(笑)。
きっと小山さんは、人間の欲をなくそうとすることは自然に反している、ということをよくわかってらっしゃるのでしょう。「水清ければ魚棲まず」「人至って賢ければ友なし」は真実である、とも書いています。
「不純な欲」を制限つきで満たすことを許せば、人間はそれ以上の悪をなすことをやめるでしょう。心が満たされれば、他人のために善い行いをする余裕も出てくるでしょう。
潔癖になって我慢をため込むと、心が歪んで致命的な大参事を引き起こすのは、人間社会ではよくあることです。
人間の心は太極図のようなもので、陰と陽、ネガティブとポジティブ、黒と白があって全体を成しています。黒い部分を無理やりなくそうとしても裏側(潜在意識)に潜るだけで、見えなくなったからといってなくなったわけではありません。良い人のふりをしても、黒い部分がなくなるわけではありません。
それなら、最初からネガティブがあることを前提として、どうしたらそうした欠点と付き合いながら生きていけるかを考えた方がうまくいくでしょう。
「干し柿は、甘柿で作るのではなく、渋柿で作ります。渋柿をつるして太陽に当てると、熟成して甘くなります。それと同じように、「クセや欠点」を多く持った人が、クレームを受けたり、理不尽な思いをたくさんすると、それがやがて熟成して、長所に変わります。」
私は人あたりがいいのであまりそう見られることがないのですが、かなりひどい「クセや欠点」をもつ人間です。それでもアニカという太陽にさらされて、失敗や理不尽な思いもたくさんして(笑)、だいぶ甘くなってきたと思います。もう一息、がんばります。